待つことと、費やした時間が消化されること。

 おせち料理は一つずつに時間がかかる。たとえば数の子の塩抜きに数時間。その数時間、放っておいてもいいわけではなく、ちょっとずつ気にかけて時々水をかえてやる。水をかえる時に、襞から浮いてきた筋皮を指で取り除く。漬け込みダレは、一度沸かして冷ましておく。冷めるまでに時間がいる。
 何かが成るまでには、絶対的な時間が必要だ。待つことができないと、手に入れられないものがある。
 (つづきは明日)

おせち


大皿その1は、ぶりの照り焼、黒豆、数の子、田作り、酢れんこん、なます。
ぶりは漬け込みから、数の子も塩抜きから。今年は黒豆はやわらかすぎると飽きるので少し歯ごたえを残して火をとめた。田作りはかなり時間をかけてタレを煮詰めた。短気を起こすと失敗する。なますがあるので、酢れんこんの方は辛めにキレよく仕上げる。


大皿その2は、栗きんとん、紅白和合(かまぼこ)、伊達巻、矢幡巻、身欠きにしんの昆布巻、ちょろぎ。
栗きんとんは金時芋の色づけから丹念に。くちなしの実を4個割って一晩色出し、その汁を漉して、厚く皮を剥いた金時芋を漬ける。漬けること9時間。そこからは一気に。かき混ぜる時はバーミックスを使った。
姑から鬼すだれと伊達巻用玉子焼き器を借りて初めて伊達巻を作る。1本目は焦がして失敗。2本目を新年の大皿に。
昆布巻とちょろぎは買ってきたもの。


大鉢には、煮しめを。しいたけ、こんにゃく、日の出にんじん、さやえんどう、たけのこ、生麩、ひりょうず、れんこん、里芋をそれぞれ別々にこしらえる。銀杏は下処理済みのものを買ってきた。