待つことと、費やした時間が消化されること。

 おせち料理は一つずつに時間がかかる。たとえば数の子の塩抜きに数時間。その数時間、放っておいてもいいわけではなく、ちょっとずつ気にかけて時々水をかえてやる。水をかえる時に、襞から浮いてきた筋皮を指で取り除く。漬け込みダレは、一度沸かして冷ましておく。冷めるまでに時間がいる。
 何かが成るまでには、絶対的な時間が必要だ。待つことができないと、手に入れられないものがある。
 (つづきは明日)