006:戦術眼

ISBN:4583100833

 日ハムの新監督・梨田さんの本。近鉄にいた頃から、見るからにイイ人っぽかったが、本もまたイイ人で、なんというか、何事も善意に解釈し、健全な結論を出す。人の悪口はいっさいなし。当たりもやわらかい。かと言って、情に流されるわけでもなく、非常にバランスが良い。簡単に言うと、無難。
 しかし、しかし、無難に生きることこそ本当に難しいのだと歳をとるほど身にしみてわかるもので、これはすごいことなんじゃないかと思う。ましてプロ野球チームの監督だ。無難にやっていくということは、無難を選んでいただけではできない。
 だから、梨田さんという人のことを別に悪くは思わないし、むしろある意味すごい人だと思うのだけど、この本にはたぶんライターが書いているのだろうとアリアリと思わせる表現がけっこうあり、そこはちょっと興をそがれた。なんていうのかな、あっちもこっちも立てようという意図なのか、まるで広告みたいな言い回しがたくさんあるんだ。そういうのはちょっと、なんだかね。