012:遺された人びとの心の声を聴く

ISBN:4380085031

 目次だけ。
第1章 グリーフワーク、グリーフケアとは
 それぞれの悲しみは終わらない
 グリーフをめぐるさまざまな要因
 悲嘆反応と悲嘆のプロセス
 グリーフケアとサポートの形
 覚悟して悲しみと直面するグリーフワーク
 悲しみと向き合って自分を育む

第2章 悲嘆が複雑になるとき
 悲嘆の回復がうまくいかない要因
 複雑化した悲嘆を抱える遺族の症状
 病気に移行していく悲嘆とは
 遺族と心理支援専門家との距離
 相談機関を訪れる人たち
 臨床心理士の仕事
 周囲の人にできること

第3章 「分かち合う」ということ――子どもを亡くした親たちと共に歩んで
 二〇年経っても、あの娘はここにいる
 死は始まりのとき
 現実社会とは違う時間の流れ
 悲しみを受け入れない社会
 子どもを亡くした親の“分かち合いの会”
 自死遺族への視線
 あなたは、あなたのままでいい
 言葉にならない思いを受け止める
 マスコミと遺族
 大切なのは、「共に在ること」
 
第4章 遺児の心を支える――神戸レインボーハウスの活動から
 震災遺児を捜し出す
 文集『黒い虹』に見る、あの日の状況
 すべての遺児に奨学金と心のケアを
 安らぎの場、「レインボーハウス」の誕生
 日本初の“心の癒しの場”
 遺児のための「ケア・プログラム」
 悲しむ子どもに寄り添いながら

第5章 病院で遺族を思いを支えられるか
 緊急入院から苦悶する日々へ
 手術室に向かう夫に想いをたくす
 抑制帯を嫌がる心の悲鳴
 ひとりの人間として看てほしかった
 病院は家族が遺族になる場所
 家族・遺族と看護師の関係
 旅立ちの支度に選ばれるということ
 看ることは心を寄せること
 遺族ケアの試みを

第6章 喪失から新しく生き始めるとき
 遺された妹の手記から
 母と姉、そして自分との関係
 次を生きなければ辛い
 この悲しみもわたし自身の一部として受け止める
エピローグ

 病棟看護師は第5章を読むといいと思う。といっても、何か解決策が書かれているわけではなく、家族/遺族がどんな心境であるかということに気づくきっかけになるというだけだけど、気づかなければ何も始まらないのだから、読むべきだと思う。
 この部分、小林光恵さんに一度、一般向けの本を書いてほしいものだと思う。いつか。できれば早いうちに。