036:ストレスとはなんだろう

ISBN:406257604X

 暑いから読んだわけじゃなくて、仕事で読んだのです。
 帯に「福岡伸一氏推薦」って書いてあるけど、コメントは「ストレスを知らないこと、それがストレスになる」という、それだけ。で、中身は、明らかに『生物と無生物のあいだ』のストレス学説版を狙っているのだけど、まー、あの本は福岡さんの文体というか、面白がり方が面白いのであって、それをまねしようと思っても、そりゃ簡単にいくものではない。だいたい、何が面白いと感じるかというところからして、その人個人の感受性の問題なのであるから、まねするにはムリがあるというものだ。というわけで、この本の扱っているネタはたぶん、かなり面白いはずなのだが、その面白さはいまいち読者に伝わってこない。読者は福岡さんのあの本を狙ってるのだなとわかってしまってから読むわけなので、どうしても、別に意地悪じゃなくても、福岡さん的なちょっとブンガクなノリが微塵もないこの本にはなかなか共感しにくい。
 ただですね、ストレス学説の誕生までの生化学史みたいなものの中身は面白かったのです。もうちょっとなんか、うまいこと表現できていたら、すごく面白い本にもなっただろうに、とも思うのです。