042:プライマリ

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プライマリ 地域へむかう医師のために
松村 真司
医学書
売り上げランキング: 47435
おすすめ度の平均: 5.0
5 第1章は桜田淳子ネタが潜んでいたとは・・・
ISBN:4260006797

松村先生は、町のかかりつけ医。もうすぐ還暦ぐらいの御年なのかな。まだ若い医師や、これから医師を目指す人たちに向けて、自分の思いを綴った本で、とても正直に書かれてあって、また信頼感のもてる内容だった。大げさに言えば「医の心得」のようなことが、ぜんぜん偉ぶらずに書かれてあるので、プライマリに関わる医師でなくても、読んでみると、最初に医学を志したときの気持ちとか、新鮮に思い出すかもしれない。看護師もそうかもしれない。病院の体制とか、忙しすぎていたりとかで、腐りがちな気持ちを立て直すとき、役に立つかもしれない。
 “希望”みたいなもの、いや“希望”とはっきり言ってしまっていいのかもしれないが、そんなような気持ちのいいものがこの本の中には込められているような気がしてよかったのだ。志したときにはきっとなんか、やりがいみたいなものと希望とが重なっていたはずで、それはやっぱり大事にできるならしたほうがよくて、これって医者に限らないし、卑近な例で想像力の貧しさを露呈してしまうが、どうしてもこういう話になると自分の仕事だとか働き方だとかを振り返ってみずにはいられないので書いてしまうと、ライターみたいなこんな仕事だって最初は、希望だとか、やりがいだとかで胸はいっぱいだったような気がするのだ。そんなことだけではサステイナブルじゃないのよ、ってのは、医療の世界だけじゃなくて、こっちの世界だって同じで、わたしもほとほと腐っているので、少し人生の先を歩いている人の手によるこういう気持ちの良い本を読むと、ハッとさせられてしまう。いや、だからって厳しい待遇に甘んじてがんばれ、なんて言うつもりはなくて、それはそれ、これはこれだってことは自分だって同じだもの、わかってる。なんとかならんのですかね、この世の中。