062:アメリカの宗教右派

アメリカの宗教右派 (中公新書ラクレ 291)
飯山 雅史
中央公論新社
売り上げランキング: 19461
おすすめ度の平均: 4.5
5 アメリカ政治における宗教要因のダイナミクスを描いた好著
4国史と連動する宗教右派の歴史
ISBN:4121502914

 右派のことが中心ではあるのだけど、それについて記すには歴史も必要だし、その他の勢力についての説明も必要なので、ただ宗教右派だけのことが書いてあるわけではない。その意味ではアメリカ政治を理解するために欠かせない知識が、この本一冊だけでもかなり身につくと言っていい。植民が始まったころからのアメリカ宗教史が前半滔滔と語られている。といっても、大学で使う教科書ほどお堅くはないので、まぁまぁ読みやすい。大統領選までは時事通としてサブテキストになるような感じ。大統領選が終わったあとは、大半の人にとっては「教養」という範疇に属する知識だと思うが、これを知っていると知らないとではアメリカ関連のニュースを見るときにちょっと理解が違ってくると思う。政教分離と言いながら、なぜあれほどまでに宗教が大きな政治勢力になっているのか、なぜ宗教的配慮なしに政策を決定することができないような仕組みになっているのかが、なんとなくつかめる。「なんとなく」っていうのは、もともとよく知っている人だったらより深い理解になるのだろうけど、わたしはこの件についてな~んにも知らなかったので、それでもまあなんとなくならわかったのだ、という意味なのであり、この本のデキ云々とは関係ありません。