キャロティンの祭典
100冊の077のうちの料理コーナーについてです。
(娘・真樹さんの前書き「徹さんへ」から)
徹さんはいわゆるグルメではなかったけれど、食べることは大好きでした。
家で作曲をしている時も、朝食が終ると、“さあ昼めしまで頑張るゾ”、そして昼食が済むと、“よし夕飯まであと3小節……”、などと云いながら仕事部屋に入って行きましたよね。
でも世間には、徹さんはろくに食事もせず一心不乱に作曲をするような人だったと思っている人もいるようです。
“お父さんと一緒に食事をすることなんてあったんですか?”と聞かれたことがあります。笑っちゃいますよね。私たち親子は食べるという行為で結ばれていたのに……。
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私が、可笑しいと思ったのは、その料理をいつ食するかまで指示してある点です。夜とか昼とか、ものによっては夜(昼)って書いてあったり……。“なぜそんなこと書くの?”って聞いたら、徹さんは不思議そうに、“普通は書いてないの?”って云ってましたっけ。
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浅香さんは今でもしょっちゅう云ってますよ。“もっと松茸を食べさせてあげればよかった”とか、“手がかゆくなるなって云わないで、とろろをすってあげればよかった”とか……。
でも徹さんの食生活は決して貧しくはんかったし、浅香さんも料理がうまかったから、こんなレシピ・ブックが書けたんだと思います。
で、わたしがこのレシピの中からコピーして台所のマイファイルに入れたものは次のメニュー。
・夜・雲片【うんぺん】(汁)
・昼・焼なす(おくら、山芋、梅酢かけ)
・夜(昼)・棒棒猪【バンバンポーク】(前菜)
・夜(昼)バレー・ボール【馬鈴球】(菜・前菜)
・(朝)(昼)(夜)貧しい菜【まずしいな】(白菜の中国風変りサラダ)
・キャロティンの祭典(二つのイタリアン・サラダ)(A)キャロット・サラダ、(B)かぼちゃのマリネ
・昼(夜)いり豆腐(ぼくの得意のお総菜)
・夜(昼)シンプル・チキン(4人目安)
・酢ばす
・小海老と豆腐の中華風むしもの
・手羽先の唐揚げ(ビールのおつまみ)
・夜・ポークチャップ
・鯛どんぶり(鉄火丼とはくらべられない品のよさ)