078:若者が3年で辞めない会社の法則
著者は日本能率協会にいた人。
3年で辞めていくのを若者たちのせいにしているばかりでは何度も同じことが起こる。3年ぐらいで何がわかるか!などと言わず、辞めた若者たちに丹念にインタビューを重ねたところがこの本の勝因だ。
言われてみれば、わたしも最初の会社をたった2年で辞めました。直属の部長は「いい加減にしなさい。そんなことでは他の会社にいったところでまともにはやっていけない」と言いました。ふてぶてしくもわたしは内心「そうですかね、こういうわたしを使えなかったあなたにも非があるのではないですかね」と思いつつ、口だけ「ご迷惑をおかけしてどうもすみません。退職願を受け取ってください」って頭を下げた。後日、部長よりもっとエライ人事本部長に呼ばれて、約2時間半のランチインタビューを受けた。1対1で、うんまいメシを奢ってもらいながら。人事本部長は翻意を促そうとしたわけではなく、なぜ辞めるのか、その会社の何がイヤだったのかを教えてくれと何度も何度も聞いた。たいした考えがあったわけではないが、イヤだったところを思いつくままにいろいろと話した覚えがある。そのぐらいの経験年数で会社のことを本気で考えたりはしないから、ましてや会社のためなんてことはほとんど考えないから、そのときに喋ったことも、そういう意味でほんとに思いつきでしかなかったのだけど、いま思うと、案外、本質を衝いていたかもしれないなぁという印象がある。いわゆる「会社」というものの変なところにわたしはずいぶん気がついていたと思う。で、どっかで、会社なんてどこもこんなもんなんだろうと思い、だったら同じ我慢をするのでも、もっと自分が張り切って働ける面白いと思えるジャンルで我慢したいと思った。多少は待遇が下がっても。
次の会社では年収が3割減った。前の会社にも増してひでぇところだった。だけど、わたしは溌剌と働いていたと思う。人は、そこにいる意味がわかれば、それなりに振る舞うことができるものだ。