092:女装する女
女装する女 (新潮新書) | |
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これはなかなか面白かったです。てか、わたしが今でも一人者で、前に勤めていたあの会社にそのまま残っていたら、たぶん、ここに出てくるような女たちと同じような生活をしていただろうなとリアルに思えるからなのでした。なんていうのかな、小気味良いです。一人暮らしの部屋でオヤジしてて、出かけるときは女装する、ってのはわかりすぎるほどわかる。20代のころ、そういえばそんな感じだったかもしれない。残業しないで帰ると駅に着くのが19時、それからパチンコして1箱いっぱいになると交換して、それからいつもの焼鳥屋に行くか、そのまま帰ったらジャージに着替えて自転車で打ちっぱなしに行くか、なんていう生活をしていたことがあった。男のトランクスを部屋着にしてたのもその頃だ。んななのに、会社のイヤーエンドパーティとかいうと、半休とって美容院に行って上から下まで隙なくキメた。だけどその会社には、こういう女についてこれる男がいなくて、ちょっとドライブ行ったり飲みに行ったりなんてことはいくつかあったが、どいつもこいつもつまらんくて、そんな会社だったから辞めた、ってのが真相だったかもしれない。次の会社は、わたしみたいなのもいっぱいいたし、そういうのをおもしろがる男もいっぱいいた。とんでもない会社だったけど、わたし的には居心地良かった。
この本、そういう女たちが30代、40代になって、金ももってて、自分で時間も作れるようになったら、何をしてるか、って話です。「消費」の本質みたいなことがわかります。寂しいとか書いてないし、寂しそうにも読めないし、だからといって突っ張ってる風でもないところがすごくいい。そういうライフスタイルの女を見つけるとすぐに、寂しいんじゃない?なんて言っちゃう男も女も、わたしは大嫌いだよ。湯山さん、ちょっとファンになりました。