111:一粒麦は生きている――緩和ケアへの遠い道
一粒麦は生きている―緩和ケアへの遠い道 | |
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著者は一般外科医。研修医だった頃に出会った胃がんの女性からの問いかけをずっと胸に抱いて、緩和ケアの勉強を続けてきた人だ。タイトルは、一粒の麦でも地に落ちて芽を吹けば……というたとえからとったもので、その一粒の麦が著者にとっては医師人生の最初に会った末期がんの患者だったということだ。
外科は、切るだけが仕事ではなくて、自分が執刀した患者のその後もケアをする。なんでも切れば治るというものではないから、後のことはより大切だ。著者は誠実である。
この本は緩和ケアのオーソリティたちの話を聴く機会のあった著者による講演録のような風にも読めるつくりになっている。医療従事者でなくても緩和ケアとは何かということがだいたいわかる。