044:ご遺体の変化と管理

ご遺体の変化と管理―“死後の処置”に活かす
ご遺体の変化と管理―“死後の処置”に活かす
照林社 2009-05
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 今のところ、医療施設で看護職が行っている死後処置に対し診療報酬は設定されていません。けれども病院で亡くなる方が依然たくさんいらっしゃる以上、やはり必要な処置というのはあります。家族にとっては大切な時間でもあります。
 診療報酬がないということは、この死後処置が看護ケアとして公的には認められていないということでもあります。医療行為ではないという認識を表しています。そのためか、あるいは卵が先かニワトリが先かという話になってしまうけれども、これまで、本格的に看護研究のテーマとなったことはほとんどなく、わたしの知る限り、小林光恵さんを中心として展開されているエンゼルケアの研究会が発表したものぐらいではないかと思います。
 葬儀屋が遺体を引き取りに来て運ばれていった先で遺体にどのような変化が起こるのか、病院の医療スタッフで知る人は多くありません。そのため、病院で行われている死後処置にはいわゆる“エビデンス”が欠けているものが多いのです。これでは看護職も自信をもって取り組めない。それでこのような本が出ました。著者は、遺体の管理を専門とする人です。臨床の看護職にとっては非常に重要な本です。他にこのような本はありませんから、これを基にさまざまな検討が進むことを期待しています。