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歌よみの眼

歌よみの眼
歌よみの眼馬場 あき子

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NHK短歌 作歌へのいざない 考える短歌―作る手ほどき、読む技術 (新潮新書) 「マイナス」のプラス ――反常識の人生論 鬼の研究 (ちくま文庫) 短歌の友人

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 歌人・馬場あき子さんの随筆集。古今の短歌を読み解きながら感じ、考えたことを、さまざまな媒体で発表してきたものをまとめたもののようだ。
 前半に配された、長めの随筆群が殊に味わい深く素晴らしかった。いにしえの日本人の魂のあり方を、ゆっくりと探っていく。馬場さんはあまりご自身の生身はさらけ出されないが(なんとなく、そこには「はしたない」という美意識が存するように感じられて好ましかった)、彼女の長い長い心の旅のあとをついていくような愉しさがあった。
 卑近なことで言えば、この本には、わたしにとって目新しい言葉、いままで素通りしてきた言葉への新しい意味が登場し、一つひとつを覚えることがなにやら晴れがましくも感じられた。これからこの言葉をわたしのテーマに据えることにする。10代のころに覚えた古典への関心がまた、むくむくと呼び起こされたのもうれしかった。
 一番覚えておきたい単語は「たまきはる」。とても気に入ったので、これからわたしのテーマに据えることにする。
(↑以上、メディアマーカーに書いたのをそのままコピペ)

066:逝かない身体

〈ケアをひらく〉逝かない身体ALS的日常を生きる
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 高校同期の友人id:ajisunの初単著。感動的なできばえでした。以下、amazonにアップしたユーザーコメントをコピペ。

 ほかの方も書いていらっしゃるように、“闘病記”と呼んでしまうことには躊躇を覚えます。単なる“介護記録”でもありません。著者は、ALSという難病を生きる母を見つめ、その母を介護する自分を見つめつつ、家族介護の閉じた関係性にこもってはいませんでした。またこの本は、「ALSという特殊な病気のお話」でもありません。人間なら誰でも病気にかかるという点で、誰にでも通じるテーマだと思います。

 学問で言うなら、社会学倫理学看護学政治学……いろんな分野へのヒントが詰まっていました。この物語が、いわゆる論文ではなく、文学として提示されたのは、必然であったと考えます。病いをめぐる人間の営みをくまなく記述し伝えたいと思えば、ものさし一つではとうてい足りないからです。

 たとえば、母上の病気が進行し眼球の動きもとまってまったくコミュニケーションがとれない状態になったときに著者はこう書いています。
「想像には限界があった。だから母のために私に何かができるのだとしたら、それはありのままの母を認めて危害を及ぼすようなことは一切しないことだ。」(p.199)
 人工呼吸器を止めれば母は楽になれるのではないか、という考えを反芻した末に、著者がたどりついた結論でした。「家族の代理意思決定」だの「慈悲殺の是非」だのといった聞き覚えのある言葉では語り得ないことだと感じました。

 言語的なコミュニケーションがとれなくなってからも、母上がその身体でさまざまなことを伝えてきた様子もつぶさに書かれていました。身体からなにを読み取りどう応えるかは、ひとえにケアにあたる側の感受性にかかっています。押さえた筆致からは、著者が意図するのは読み手を感動させることではなくて、人間の生がはらむ可能性を見逃さないでほしい、大切にしてほしい、という気持ちなのだとわかるのですが、やはり体験から紡ぎ出された言葉には、人の心を動かすしずかな迫力があります。

 これからわたしは折々にこの本を読み返すことになると思います。そして、読むたびに新しい発見をしていくことになるだろうと思います。

 読んですぐにでも感想をアップしたいと思っていたのだけど、絶対この本いいんです、読んでください!という気持ちが強いほど、手がすくんでしまって書けないものでこんなに遅くなってしまいました。1か月も寝かせておいて、その分だけいいレビューが書けるとかというと、そういうわけでもない。これより遅くなっても状況は変わらない。だったら、不完全でもとにかくアップしたほうがいいよ、と思ってえいやとアップしました。なんのことはない、今日こそ書くぞと決めたら20分でできちゃったんだ。

 こんなレビューではぜんぜん伝わりません。読んでやってください。よろしくお願いします。