008:プロフェッショナル

ISBN:439611107X

 仁志って好きなのさ。自分の役割を一人、黙々とこなす風な感じが。ヒーローインタビューの無愛想な感じが。この本を読んで、こういうファンの期待を裏切らないプレイヤーだということをまた確認できたのはうれしい。
 まるで修行僧のようだと思った。なんかもうほんと四六時中、野球のことばっかり考えてるみたいで。こういうストイックな人のこと、日本人ってわりと好きじゃないですか。で、わたしもまた日本人だから好きなわけだけど。この本、売れるとまた、ファンが増えるのになぁ。
 にしても、帯には唸りつつ笑う。桑田真澄のコメントで。

考えて野球をしている
仁志敏久くん、いいね!

 なんかなんかなんか、桑田のちょっと高い声で聞こえてくるようなコピーだ。ほんとに桑田はこう言ったんだろうと思う。桑田は桑田なりに考えてるんだろうけど、なんかあの甲高い声で相殺されちゃって、どっかの雑誌のコピーに桑田のことを「仕事バカ」ってしてあったけど、ほんとほんとそういう、ちょっと愛らしいバカっぽさがあって、それがまた人を惹きつけるわけだ。仁志は桑田と違って、全然バカっぽさがない。息抜きってことをしない人だ。この本も全部自分で書いたみたいだ。中表紙に原稿用紙の写真が掲載されているのだが、マス目の真ん中に1文字ずつ、それはそれは丁寧に書かれてあって息詰まるような真面目さがにじみ出ていた。

 でまたこの本の帯のコピーについての話に戻るが、改行、句読点の打ち方、最後のエクスクラメーションマーク、どれも絶妙。巧いなぁ。