013:自殺したい人に寄り添って

ISBN:4380085015
 
 今回、このシリーズ3冊読んだ中では、この巻が一番印象に残った。この問題については数年前から注意して情報を集めたり、取材に行ったりもしていたので、ほぼ知っていたことばかりではあったけれども、それらがとても丁寧に書かれていて好感がもてた。
 斉藤弘子というこの書き手は、これからもきっとテーマを抱きしめながら丁寧な仕事をしていくのだろうなと思う。ただ、そのテーマが何なのかはわからない。プロフィールには「『生と死』や『心』の問題など、いまの時代と社会を見つめるテーマを追究している」とあるが、この「自殺」というテーマに取り組む彼女自身の内側にある動機はいまひとつ伝わってこなかった。簡単に言えば、わりとあっさりしている。どこからか降りてきたテーマで、彼女の内発的な動機はなかったのかもしれない。それでもこのように丹念に仕事をする。そこが大事。自分からどうしても書きたいと思うものにぶち当たったとき、いいものを書きそうだなと思わせる何かがあった。amazonに書くなら★は4つ。