039:保健医療福祉くせものキーワード事典

ISBN:4260006169

 「医療と地域保健、福祉の協働」っていう、最近よく行政が言ってるキャッチフレーズは、カッコいいのだが、言われてみれば当たり前のことでもあり、今さらなぁ、、、、という感がないわけではない。だけども現場にとっては、これまでそれぞれがきっちり分かれていたものだから、ケースカンファレンス一つとっても各分野の専門職同士の意思疎通がなかなかうまくいかなくて困ることが多々あるらしい。
 こういう場面で言葉の定義や、ある仕組みや制度などへの理解(どう理解しているかとか、これがどうしてこういうことになっているのかとか)はとても大事なことで、ってのは、アイツ頭悪いし、って切り捨ててたりしたら疎通も何もうまくいかなくなっちゃうからだ。アイツ頭悪い、ってこともそりゃま、時にはあるだろうけれども、それ以前に、どっちかにとって当たり前のことを片方は知らないとか、知らなくて当たり前だったとか、そういうことでうまくいかなくなっちゃうことが多いわけだ。
 しわ寄せは患者/ユーザーにくるわけだが、だからって患者/ユーザーが「あんたら、なんとかしなさいよ」って改革だの啓蒙だのやる元気はなくて当然だし、そんなことやる義務もないのだから、「あんたら」が自分たちでなんとかするしかないのですよ。患者/ユーザーのことをちゃんと考えていてくれているならね。
 で、この本は、ちゃんと考えてくれている医者たちが、その実践の経験を、いろんな職種の人たちと何度も勉強会を重ねてまとめあげたものです。日本の医療・福祉政策の歴史からひもといた項目もあり、医療・地域保健・福祉の断絶の根は相当に深いのだということがよくわかる。とても勉強になったのでした。