074:ニーズ中心の福祉社会へ

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 当事者主権といえば、上野千鶴子と中西正司。で、このふたりの他に何人もの学者や実践家が、では当事者主権社会とは具体的に何か、実現するためには何が必要か、といったことをそれぞれのフィールドで書いています。
 春日キスヨの高齢者虐待についての論文は、イマイチこの本の全体にどうつながっていくのかが見えづらかったけれども、単体として興味深かった。他に印象に残ったのは、大沢真理。まっすぐ切り込んでいく感じ。スマート。冒頭の上野千鶴子の「当事者とは誰か?」、最後の章の立岩真也の「楽観してよいはずだ」も面白かった、巧かった。やっぱり論文であっても、表現力によって伝わりやすいこと、ちょっと理解困難と感じてしまうこと、ってある。巧いほうが断然有利。