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京都新聞の報道に続く動き。日本ALS協会から。
以下、A4一枚、厚生労働省記者クラブに掲示していただくことにしました。
平成19年8月2日
京都府長岡京市の開業医がALSの義母に告知をせず、死に至らしめた件について日本ALS協会
NPO法人ALS/MNDサポートセンターさくら会
連絡先 日本ALS協会事務局本日の京都新聞朝刊記事によると、京都府長岡京市で診療所を営む医師は、ALSを発症した義母に対し、告知を行わなかったばかりか、適切な治療もせず死に至らしめ、その経過を「自己評価して」学術誌へ投稿しています。これは、「治療の不開始」の容認を同業者に呼びかける極めて悪質な行為で、患者から治療を受ける権利を奪った許しがたい倫理観であります。
もはや、ALSは悲惨な病いでも、末期でもありません。適切な治療により長期の生存が可能です。また、現在、呼吸ケアでは、鼻マスクの導入により、年単位での生存が可能でALSの緩和ケアとしても、その効果は医学的に認められています。適切な呼吸管理と自立支援によって患者は再起し、社会参加も可能です。
1)しかしながら、医者は、患者にとって良い情報をどれくらい持っているのでしょう。患者の福祉に関する情報収集の努力を怠っているのではないでしょうか。
2)この医師は、自分も含めた家族介護の負担を考えて、患者当人に対する告知を控え、長期生存につながる治療の機会を奪ったと考えられます。医師といえども、家族が患者の治療方針を勝手に決めたり、生存に関わる治療を断ったりすることは許されないのではないでしょうか。
3)医師の「故意の不作為」により患者を死に至らしめる行為は、見過ごされています。富山の射水市民病院の件では、医師の裁量による「治療の停止」の実態が浮上しましたが、医師の裁量による「治療の不開始」の実態は、これまであまり問題視されませんでした。
この件は、氷山の一角であり、今後も私たちは、国や関係団体に対して、告知の徹底と、患者の治療を受ける権利を求めていきたいと思います。