116:証言水俣病

証言水俣病 (岩波新書)
証言水俣病 (岩波新書)栗原 彬

岩波書店 2000-02
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水俣病 (岩波新書 青版 841) 苦海浄土―わが水俣病 (講談社文庫) 心の扉を開く 「存在の現れ」の政治―水俣病という思想 夜と霧―ドイツ強制収容所の体験記録

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 栗原彬先生は、大学のころお世話になった先生のそのまた先生です。それで栗原先生のお書きになった社会心理学関係の本をその頃何冊か読みました。この本は、水俣千葉展を見に行ったときに会場で売っていたので買ってきました。なぜ栗原彬が水俣病?という疑問はあったのだけど、考えてみれば当然のことかもしれません。人と社会がどう取り結ぶかということを考え続けてきた人です。一方で水俣病は、ただの病気じゃなくて、社会の生んだ病であり、社会現象でもある。コミュニティの崩壊、国家と個人、人の尊厳……水俣病をめぐる論点のあらゆることがなるほど、栗原先生の研究テーマと重なってくるのでした。
 この本の中での圧巻は、緒方正人さんに聞き取りをした章です。水俣千葉展でわたしは初めて土本監督が撮った緒方正人さんの映画を観たのだけど、あれもすごかったけれども、こうして文字によって定着されたものを読むとき、また新たな、深い感慨がわいてきます。自分の頭で考え続け、そして到達した想念。これが凄い。人はこのように生きることができるのだと思いました。いい本です。