010：最後のパレード

最後のパレード
	中村克 サンクチュアリパプリッシング 2009-02-26 売り上げランキング : 111 おすすめ平均 ディズニーの著作権意識は猛烈なのになぜ？ 回収になりました 著者を付け上がらせるだけでは? Amazonで詳しく見る by G-Tools

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　著作権侵害が明らかになって回収だそうですね。これが実は今月の課題図書のうちの1冊に挙がっていたのですよ。だから読んだのですが、まさに原稿を書こうとしていた矢先に盗作疑惑が持ち上がってボツになりました。
　ディズニーランドで起きた接客エピソードの短編集なんですが、人の死を釣りにした泣けとばかりのエピソード連発で、若い女の子とかは簡単に「感動した！」とか言っちゃうんだろうなと思ったり、客あってのビジネスマンにとっては人情みたいなものをいかに形にするかというある種のビジネスモデルとして読めるんだろうなと思ったりはしたんですけど、こんなものが一時期オリコンブックランキングで1位だったなんて、日本人の読書勘って相当弱ってきているというか、あまりにもバカというか、著者にも呆れるが買って読むマーケットのほうにも相当呆れた。
　なんか怪しいということは2つ3つエピソードを読めばわかると思うんですよ。微妙に主語が揺れるんですよ。エピソード1つひとつの細かいところでまた微妙に具体性に欠けています。担当編集者はこの原稿を読んで、なぜわからなかったのだろう？　なんか変だぞという感性はまったく働かなかったのか？　だとしたら、原稿の読めない編集者ということなので致命的ですね。別に2ちゃんから流用ならそのようにはっきりと出典を書いて引用許諾を取ればいいし（ただし、ネットやブログでヒントを得たというようなことは書いてある）、こんなイージーな泣かせ本を出すなよとまでは言いませんが、詰めが甘いな。著者は出版人でないのだからそこまで気が回らないのは当然です。著者の品性お下劣ぶりに乗じて売るなら、編集者はそれなりに負うべき責任の大きさをわかっているべきではなかったか。