014:シリコンバレーから将棋を観る

シリコンバレーから将棋を観る -羽生善治と現代
シリコンバレーから将棋を観る -羽生善治と現代梅田望夫

中央公論新社 2009-04-24
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 ウェブ進化論の梅田さんが観る将棋について書きました。指さないと言いながら、内容を読むかぎり、梅田さんの棋力もけっこうなものであろうと思われました。わたしなんかではわからない記述も多々あり。でも縁台将棋で周りに自分より強い人はあんまりいない、というぐらいの方であれば、きっとすごくよくわかって面白いんだろうと思います。
 「将棋を観る」ということに特化したのは非常に面白いです。なにしろ自分が観るだけで、観るのがとにかく面白いと思っている人間なので、このように観ることの面白さを書いてくれたのはうれしかった。ですから、観るだけの人間にも将棋人権をください(笑)

 p.103で、新聞の観戦記は字数が少なくてわかりにくく素人には入ってきにくいというようなことが書いてありました。だから字数制限のないネットでもっと解説が書かれていいんじゃないか、と。でもわたしはまた違う印象を持っています。新聞の将棋欄は、字数の少ない観戦記ならではの表現、緊張感があり、名文も多い。テンポも良く、読ませる。ネットでダラダラ書かれても、それこそ読めないと思うのですね。やはり、伝えるためのテクニック、表現というのも大事です。梅田さんのこの本もそうなんだけど、ネタで引っ張るタイプの本で、まぁネタが面白いので読んでしまいますが、味わう文章では全然ない。たぶん、もっと書ける人が書いたら、もっとずっと生き生きと面白かっただろうになぁ、とありありとわかる記事もありました。(思い上がるなよ、とも思ったね実は)

 竜王戦第1局で、佐藤康光くんに同じ局面を、5級向け解説・初段向け解説・5段向け解説の3種類語ってもらう部分がありました。これは面白い! こういう試みはテレビや大盤解説会などでももっとやったらいいのではないでしょうか。

 羽生さんとの対談で、羽生さんが言ったことが示唆に富む。やはりこの人はすごい人だ<ただしわたしは別にファンではないw>(p.245)。

梅田 この十年では特に、本当に未知の局面で、最善手、またはそれに近い手を思いつける能力のある人が有利になったということなんでしょうか?
羽生 いや……やっぱりその、いかに曖昧さに耐えられるか、ということだと思っているんですよ。曖昧模糊さ、いい加減さを前に、どれだけ普通でいられるか、ということだと思うんです。
梅田 「とにかく早く簡単にしてくれ!」とは思わない、ということですか。そう思うと、負けちゃう。逆に、こんなに楽しい、わからなくて曖昧なものを、永遠に考え続けたい!と思うような人が勝つ、ということですか?
羽生 そうですね、いや、ははは、そこまで言っていいかどうか(笑)。でも、そういうくらいの心構えでやっていたほうがいい、ということはあるでしょうね。

 しかしこの本、装丁の趣味の悪さは相当だ。中央公論新社デザイン室のお仕事らしい。新潮社の装丁室とはえらい違い。

 こんな風でとにかくまー、ここんとこ将棋づいております。そこで来月、名人戦が最終局までもつれこんだら豊田まで観に行くことにしました。3号コータといっしょに、バーバんちへ泊めてもらって二日間、観戦三昧の予定。すっごい楽しみ。来週、郷田さんにはぜひともがんばってもらってとりあえずタイにもっていってほしいです。名人戦が最終局までいかなかったとしても、その週の終わりには豊田で棋聖戦もあるようなので、棋聖戦はとにかく観に行きます。羽生名人vs木村一基さんです。木村さん、わたし、ファンなんであります。髪がアレですが、目元涼しく、実は美男子だと思います。千駄ヶ谷ではおばさんたち相手のお教室もあるらしいっす。ちょっと教室代が高いので躊躇していますが、もしかしたらそのうち入門するかも。今日の囲碁将棋ジャーナルでの自戦解説もなかなか楽しく良かったです。

 ということで将棋の本ばっかりはすぐに読めちゃうんですが、この後は仕事関連本がつづきます。今月の課題本は全部で8冊。