ダライ・ラマ

最近、日本では若者によるリストカットや中高年の男性自殺者が急増しており、その問題について山田さんが法王に尋ねると、
「おなかが空いているにもかかわらず<おなかが空いた>と言えないこと」が日本人の最大の問題点だ
と返答して下さった。

 比喩的な意味での発言だと思うが、わたしは直接的にもこれは当てはまるのではないかと考える。生きるということにまっすぐ結びつく欲望=食欲。おなかが空いた、食べたい、それもできれば美味しいものを! こういうシンプルな欲こそが実は人間の存在を支えているのではないかと。

 今、入院中のわたしの93歳になる義祖母は、呼吸器をはずしてもらったとき、開口一番、「おまんじゅうが食べたい」と言ったそうな。身体はヘロヘロで自分で寝返りを打つことさえ満足にできないというのにだよ。それを聞いたときにも、いやぁ凄いもんだと感心したのだった。