尊厳死と医療費削減

 今日は衆議院議員の選挙だった。結果は周知のとおり、自民党圧勝。
 大勢が出たところで、TV朝日で田原総一郎が、「選挙ステーション」の1コーナーとして当選議員による討論番組を始めたのでなんとなく眺めてた。
 年金の話から医療費の話になったところで、自民党久間章生(きゅうまふみお)が次のような発言をした。これは忘れてはいけないので、メモしておく。

 以下、久間章生語録。

 そのうち死ぬことがわかっている人に多額の医療費をかけて、どうするつもりなのかということを国民の間でちゃんと議論しなければいけない。

 月1000万円もの医療費を使っている人のほとんどは1年以内に死んでいる。

 私は父親の終末期に、医者から「あと1か月ぐらい延命しますか?」と聞かれて、「いやもういいです、死なせてください」と言ったんですよ。そのときに、現代の医療は、最期の最期にも1か月ぐらいはなんとかできるようになってるんだと思った。

 ちなみにお父上の享年は76歳だったらしい。
 これまで尊厳死法制化についての取材を続けてきて、資料もどっさり読んだけれども、政策決定に携わる立場の人が、医療費削減と直接結び付けて尊厳死を公に語るという例は見たことがなかった。一種のタブーとして封じられてきたのだと思う。
 久間章生は、自民圧勝の報にやや浮かれたのか、つい、禁を破り、思ってることをそのまんま口にしたのだろう。「滑りやすい坂道」が目の前に見えた瞬間であった。
 尊厳死ルポの最終回には、名指しで彼の発言を引用し、医療関係者の注意を喚起したい。



 もう一つ、他のサイトに書いて、こっちに書き忘れたこのときの久間発言。正確な言葉は定かでないが、彼は、「臨死期の医療を施さないかあるいは中止することによって尊厳死が実現できる」という主旨のことも言った。