005:病気にならないための時間医学

病気にならないための時間医学
大塚 邦明
ミシマ社
売り上げランキング: 82502
おすすめ度の平均: 5.0
5 外も中も!
ISBN:903908038

 サーカディアンリズムについては、いろんな本に出てくるから知ってる。うつ病だったときには、日内変動というのを日々体感した。今も、少し調子が悪くなってくると朝起きるのがだんだん遅くなり、夕方ぐらいから妙にテキパキ動くようになったりする。自分をアセスメントするのに最もわかりやすい指標だと思っている。人間だって自然界の動物の一種だから、他の多くの動物や植物たちがそれぞれに生体時計を持っているらしいのなら、人間だってたぶん持っているんだろう、ということもわかる。

 でもなぁ、季節の時計って本当にあるんだろうか・・・? 日本には四季があるけれども、南の方へ行けば一年中、夏だったりする。人間に季節の生体時計が備わっているのなら、そんなところでも季節変動が起こるはずだが、それについては検証されていない。日本の四季は、温度も湿度もわりとはっきり変わるし、台風がくる季節は決まっていて雨が降りやすい時期も決まってて、気圧の変動にもリズムがあるわけだから、それに身体が影響されるのは当たり前といえば当たり前で、時計が本当にあるのかどうかの証左にはならないんじゃないか・・・などという基本的な疑問がどうしても拭えない。

 まぁ季節に限らず、長短いろんな時計があるかのごとく書かれていて、グラフが付いていたりするので、なんか本当チックに思えるのだが、例えば「文化」にもリズムが云々と書いてあっても、著者が何を「文化」としてカウントしどんな風にして統計をとったのかが書かれてないので、んんん????と思わざるを得ない。一般向けということではしょったのかもしれないが、ちょっと(だいぶ?)そのあたりは物足りない。

 といって、“〜だからこうしろ”的なわかりやすいキャッチはあえて避けたようにつくられており、パパっと読んですぐに役に立つというような本でもない。でも別にこういう本は嫌いじゃない。amazonで★を付けるなら3つ、かな。